医学部学士編入ブログ 
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医学部学士編入に出る統計 疫学のまとめ

こんにちは、ゆうです。

ゴールデンウィークを満喫しています。過ごしやす日が続いているので気持ちいいですね。

今回は開幕直前の医学部学士編入対策として

統計学 疫学についてまとめていきます。

まずは、キーワードを書いておきます。

標準偏差、Z値、相関係数、相対危険度、寄与危険度、感度、特異度、尤度比。

目次

医学部学士編入試験にどこの大学で統計学って出るの?

まず、統計学が出る大学は限られています。試験直近の琉球大学、富山大学。人気校の滋賀医科大学。

昨年、とうとつに出してきた鹿児島大学。毎年計算量が多い名古屋大学や旭川大学でしょうか。

その他の大学でもちょいちょい出ていることがあります。

統計が出る大学では統計量の算出方法などは知っている前提で出されます。

そのため、統計学で出る基本的な公式をマスターし、計算は習熟していることが求められます。

幸い医学部学士編入試験で出される統計は難易度としては高くなく、どの公式に当てはめれば

良いかさえわかって入れば得点、合格点は取れると思います。

では、簡単にまとめていきたいと思います。

大学でちょうど医学統計学の授業もありました。それらのまとめと合わせて紹介していきます。

覚えて欲しい式は①、②、公式15などで示した式です。

医学統計の公式

平均値 meanとaverageの違い

まずは基本の平均から

平均には2種類存在します。

それはmeanとaverageです。どちらも平均と表しますが考えが異なります。

meanは、データの中間点という意味があります。

mean以外の統計値であるmedian(中央値)やmode(最頻値)も含めています。

つまり広い意味でデータの代表値を表す言葉として用いられます。

論文などで多いものはこちらです。論文データもmean±SDとして表すことが一般的です。

一方、averageは相対的なという意味合いが含まれます。データを水平化する結果として出てくる値です。

よく例に上がるのが、ある区切られた容積に入っている液体の例です。中に入っている液体を全て足し合わせて、

容器全体の容積で割ることで計算できるものですね。

標準偏差と分散

データはmean±SDで表すのが一般的です。

これは、データの中間であるmeanとデータのばらつきであるSDで表しています。

このSDに当たるのがStandard Deviation、つまり標準偏差です。

算出の仕方

まず、偏差を求めていきます。

偏差はデータから平均値を引いた値です。データをx、平均値をμで表すと

公式①偏差=xーμ

で計算できます。

この値の平均値を求めていくことで、データ全体のばらつきを算出していきたい。

しかし、平均値からの値がいつも正とは限らないため、このままではばらつきがキャンセルされて

算出する値は計算の都合によってばらつきが小さくなってしまいます。

そこで、偏差を二乗してあげます。

公式②偏差の二乗=(xーμ)の二乗

これでばらつきを表すことができました。

次にこの値をデータ数nで割ると、データのばらつきの平均が算出できます。これが分散σです。

公式③分散σ2 =(x-μ2/n

しかし、このままだとデータの次元が変わってしまいます

例えば長さの単位cmを二乗するとcm2となり面積になってしまいます。

そこで平方根をとります。

公式④標準偏差SD=√(x-μ2/n

医学部学士編入試験の場合

ここまでで何点かは取れるでしょう。

次に、標準化係数Z値の計算です。

Z値とは?標準化係数の計算と応用

Z値、標準化係数とは・・・

データ全体に対する相対的な位置を示す値です。つまりデータが平均値からどれぐらい離れたところに

分布しているかを、標準偏差を単位として表した値です。

公式⑤Z値=(x-μ)/SD つまり

Z値=(標本の値-平均値)/標準偏差 = 偏差/標準偏差

上の式で算出できます。

これによって相対的な順位や大きさを比較することが可能です。私たちの馴染み深い偏差値もこれを応用したものです。

偏差値は平均50点、標準偏差が10点となるように標準化した値z10をかけて50を足したものです。

相関係数rの算出

相関係数とは、2つのデータの関係性を表すものです。計算することでわかりますが、相関係数には単位はありません。

よって単位による影響を受けずに関連性を表すことが可能です。

相関係数を求めるには、共分散をそれぞれの標準偏差で割ることで算出できます。

公式⑥r=Sxy/Sx・Sy

共分散Sxy=1/n(xーμx)・(yーμy)

ここでひと段落です。次に琉球、富山などで頻出のオッズについてまとめていきます。

オッズとオッズ比

次にオッズです。ある

事象の起こる確率をpとし、1-pが起きる確率とで比較した値がオッズです。

つまり、起こりやすさを相対的に表した統計値です。

公式⑦オッズ=p/1-p

これは医学の臨床試験などによく用いられます。

例えば、

ある生活習慣(ここではわかりやすいように喫煙習慣)によってある疾患になる場合を考えてみます。

喫煙習慣によってある疾患になるオッズを計算すると

公式⑧疾患になる確率/疾患にならない確率=18/39 / 21/39 = 18 / 21 …⑴

次に

喫煙習慣がないことよってある疾患になるオッズを計算すると

疾患になる確率/疾患にならない確率=34/216 / 182/216 = 34/182 …⑵

⑴、⑵よりオッズ比が計算できます。

公式⑨オッズ比= ⑴ / ⑵  = 喫煙ありのオッズ/喫煙なしのオッズ = 18/21  /  34/182

これによってある疾患のかかりやすさの比較が可能になるのです。医学部学士編入では

この式が与えれていない場合が多いので公式⑧、⑨は覚えておく必要があります。

(一部、数値を修正いたしました 180509)

リスク比、相対危険度(RR)

同じデータを用いて見ます。

ある習慣群の非習慣群における疾患の頻度の比を表します。先ほどのオッズ比とは微妙に異なるので注意が必要です。

公式⑩喫煙習慣ある人が疾患にかかるかかるリスク= 18 / 39 …⑴

喫煙習慣ない人が疾患にかかるリスク = 32 / 216 …⑵

よってリスク差は次のように計算できます。

公式11 リスク差= ⑴ー⑵

これは、寄与危険度といい、政策上、対策による効果の指標として用いられます。

次に、リスク比は次のように計算できます

公式12 リスク比= ⑴ / ⑵

リスク比は相対危険度(RR)として表され、医学的な因果関係推定値として用いられます。

そのため、この計算は非常に重視されます。

注意が必要なのは、

本来後ろ向きの研究ではRRは求められないという点です。RRが求められるということは、

前向きの研究になるはずです。

しかし、本来後ろ向きの研究でもオッズ比でリスク比を近似できることがあります。

つまり、疾患になる人数が母集団に比較して稀であるならば分母の全体数は疾患にならない人として

近似して計算できるのです。これによってオッズ比がRRとして代用できるのです。

2017年の琉球大学だと

この設問1でオッズ比の計算を求めよ。設問2でリスク比を求めよ。というように

公式が分かっていないとどのように計算するか全くわからないという状態になってしまいます。

前向き研究と後ろ向き研究

ここで前向き研究と後ろ向き研究をまとめておきます。

医学の特に、臨床研究なんかではよく聞く言葉です。私も大学院は病院に居たのでよくカンファレンスや

医師の方の研究発表でよく耳にして居ました。

前向き研究とは

現在から未来に向けてデータを集め、自分の仮説を検証する研究です。ある疾患の原因、要因と示唆できる人と

そうでない人を追跡し、将来においてその疾患になったかどうかを検証します。

例)コホート研究が代表的です。

高血圧の患者とそうでない患者を数~数十年に渡り追跡し、がんの発生率を調査するなど。

コホートとは、ある共通因子を持つ観察対象者群のことです。元々はローマ帝国軍のことで、戦死者が居ても補充しないことで知られて居ました。研究者は介入せずにその結果を集めていきます。

前向き研究は資金がかかること、長時間かかること、倫理的に実施が難しい場合があります。

後ろ向き研究とは

過去のデータを収集して自分の仮説を検証する研究です。

データを遡ることで、現在の疾患の有無と過去の要因。例えば生活習慣や食事などの関連性を検証していくという

研究です。近年ではある遺伝子やある組織の表現形に注目するという研究が多くなって居ます。

例)ケースコントロール研究が代表的です。

がんを発症した患者とそうでない患者について、過去に取って居たある遺伝子の発現の多寡を調べ、

がんとある遺伝子に関連性があるかを検証するというものです。

横断研究と継続研究

横断研究とは時間概念がなく、ある一時点の集団から標本を抽出して解析が行われる研究です。

因果関係の推定には向かない手法です。

一方、縦断研究は、対象者を2回以上繰り返し観察し、データを取得する研究です。調査したいことを違う時点で

複数回データ収集するので、研究に時間の流れが加わるのが特徴です。

(今さら聞けない医学統計の基本HPより引用

最後に感度、特異度です。

感度、特異度とは?

医学検査などで頻用されます。

定義は簡単ですが、こちらも覚えておかないと解けない問題が医学部学士編入試験では出されて居ます。

富山大学などでは、そのまま、感度と特異度の定義を書けと聞いて居ます。

次のクロス表で考えていきます。

感度とは?

疾患のある人が正しく検査陽性になる確率

公式13

感度 = a/a+b

特異度とは?

疾患のない人が正しく検査陰性になる確率

公式14

特異度 = d/c+d

まとめると、両者とも検査が正しい結果となる確率と言えるでしょう。よって、感度、特異度共に高い方が

良い検査と言えます。

また、次の概念も重要です。

それが尤度比です。ゆうどひと読みます。

尤度比(Like lihood ratio, LH)とは

公式15

尤度比 LH = 感度 / 1-特異度

で計算できます。

LH = a/a+b / 1ー d/c+d

言い換えると

尤度比 = 疾患のある人が陽性になる確率 / 疾患のない人が陽性になる確率

とも表すことができます。

まとめ

今回は、試験も直前の琉球、富山大対策を考えて統計をまとめてみました。

2つの大学は、統計の計算、公式が既知のものとして出題されます。

公式され知っていれば解ける問題が多いです。試験場で悔しい思いをしないよう、

今回あげた公式はしっかりと使えるようになることが肝要です。私はうろ覚えで行って失敗した大学もありました。

そのな思いをしないよう、まとめてみました。医学部学士編入の受験生の役にい立てれば何よりです。

公式は一度成書でしっかり確認してください。この公式1から15までを習得するだけでも、合格点は行くかと思います。それでは、良い結果になることを願っております。

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